ローリングシャッターとは?写真と動画に潜む「歪み」の正体を徹底解説

カメラの性能が進化し続ける現代でも、「なぜか写真が変に曲がる」「動画の動きがぐにゃっと歪む」という現象を経験したことがある方は多いでしょう。その原因こそが ローリングシャッター(Rolling Shutter) と呼ばれる仕組みです。

スマホからミラーレスカメラまで、電子シャッターを使うすべての機器に深く関わる重要なテーマですが、意外と知られていない部分も多いもの。本記事では、ローリングシャッターの仕組みや影響、対策まで詳しく解説します。

目次

ローリングシャッターとは

ローリングシャッターとは、電子シャッターで撮影する際に センサーを一度に全てではなく、上から下へ順番に読み取る方式 のことです。

通常、シャッターというと「一瞬でパシャッと撮影される」イメージを持つ方が多いですが、電子シャッターは機械的に動く部品がありません。そのため、センサー上の画素を時間差で読み出して画像を形成します。

この「時間差」が問題で、被写体やカメラが動いていると、読み出しの間に位置がズレてしまい、写真や動画に歪みが生じる のです。

ローリングシャッター歪みはなぜ起きるのか?

ローリングシャッターによる歪みは、主に次のような動きがある時に発生します。

  • 被写体が高速で動く
  • カメラを急に横方向へ振る
  • 車・電車など、揺れの多い状況で撮影する
  • 動体が規則的な振動をしている(プロペラ・扇風機など)

読み出しが「上から順」に進むため、時間差によるズレが画像として現れてしまう のが原因です。

ローリングシャッターで生じる3つの代表的な歪み

斜めになる

高速で横方向に動く被写体が、まるで倒れているように斜めに写る現象。
電車や車を流し撮りするときに発生しやすく、「まっすぐなものが傾いてしまう」状態です。

ぐにゃぐにゃ曲がる

カメラをパンした時などに、画面全体が揺れるように歪む現象。
特に動画で顕著で、まるでゼリー越しに見ているような「ジェリー現象(Jello Effect)」とも呼ばれます。

プロペラやファンが“ギザギザ”に写る

読み出しの時間差により、回転体が異様な形状に変形します。
ドローンのプロペラが歪むのはまさにこの現象です。

なぜ電子シャッターではローリングシャッターが起こるのか?

電子シャッターは、機械的なシャッター幕の代わりに センサーそのものの読み出し速度で露光を制御 します。
この読み出しが高速であれば問題は小さくなりますが、読み出し速度が遅いほど歪みが大きくなります。

つまり重要なのは、シャッター速度ではなく「センサーの読み出し速度」 なのです。

メカシャッターでは起こらない?

メカシャッターでは、シャッター幕が機械的に画面全体をほぼ同時に露光するため、電子シャッターに比べてローリングシャッターの歪みは大幅に軽減されます。

ただし、メカシャッターにも「フォーカルプレーンシャッターの幕の走行」という構造上、厳密には時間差が存在します。しかし電子シャッターよりははるかに歪みが小さいため、動体撮影ではよく使われます。

ローリングシャッターの対策方法

ローリングシャッターは完全に避けられませんが、撮影方法を工夫することで大きく改善できます。

動体はメカシャッターを使う

最も確実な対策。最新機種でも基本はこれです。

電子先幕シャッター(EFCS)を活用

動体撮影で電子シャッターのデメリットを減らしつつ、メカの衝撃も抑えられるバランスの良い設定。

パンの速度をゆっくりにする

急激な横移動は歪みの原因に。スムーズな動きが大切です。

レンズ内手ブレ補正を活用する

急激な揺れを抑えれば、ローリングシャッター歪みの発生を軽減できます。

スマホはどうなの?

スマホの電子シャッターは構造上ローリングシャッターの影響を受けやすいですが、AI処理が進化したことで歪みが目立たないように補正されています。

ただし、高速動体や強い横振りでは依然として歪みが発生します。
特に動画では、パンの動きが速いとジェリー現象が出やすいので注意が必要です。

ローリングシャッターを理解すれば撮影がもっと上手くなる

ローリングシャッターは、電子シャッターの仕組みから生まれる「時間差」によって起こる歪みです。

  • 動体撮影 → メカシャッター(または高速読み出し可能なスタックド機)
  • 静止物・風景 → 電子シャッターでOK
  • 動画撮影 → パンをゆっくり、手ブレ補正を活用
  • 回転体・高速被写体 → グローバルシャッターが理想

仕組みを理解してシーンに合わせて使い分けることで、失敗を大幅に減らすことができます。

電子シャッターが当たり前になった今こそ、ローリングシャッターを知ることは撮影の質を高める大きな武器になります。ぜひ今日から、あなたの撮影でも活かしてみてください。

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