写真のクオリティが一段上がる“PLフィルター”徹底ガイド|使い方・効果・選び方まで解説

写真を撮っていて、「空の色がイマイチ鮮やかに出ない」「ガラスの反射が邪魔」「水面の透明感をもっと表現したい」と感じたことはありませんか?
そんな悩みを一つで解決できるのが PLフィルター(偏光フィルター) です。

写真の表現力を劇的に変える存在でありながら、正しく理解して使いこなしている人は意外に多くありません。本記事では、PLフィルターの基本から応用、選び方までじっくり解説していきます。

目次

PLフィルターとは

PLフィルター(Polarizing Filter)は、光の反射や乱反射をコントロールするためのフィルターです。
レンズの前に装着し、前枠を回転させることで反射光を調整できます。
仕組みとしては、ガラスの間に「偏光膜」が挟まれており、特定方向の光をカットすることで反射を抑えたり、逆に強調したりできます。

特に効果が大きいのが以下の3点です。

  • 反射を抑える効果:水面やガラス面の映り込みを減らし、被写体本来の色を引き出す
  • 色彩を鮮やかにする効果:青空を深い青に、葉の緑を濃く、紅葉を鮮やかに
  • コントラストを強める効果:雲を立体的に見せ、風景全体に奥行きを与える

PLフィルターの種類

PLフィルターには、以下の2種類があります。

  • 直線偏光フィルター(P.L.)
  • 円偏光フィルター(C-PL/CPL)

デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラのオートフォーカス(AF)や露出(AE)のセンサーに影響を与えないよう、現在主流となっているのはC-PL(サーキュラー・偏光フィルター)です。

C-PLは、フィルター枠を回すと、偏光の角度が変わり、自分が除去したい反射光の方向を調整できます。操作はとても簡単で、レンズに装着してリングをくるっと回すだけ。その場で効果が変わるのが特徴です。

PLフィルターを使うとどう変わる

水面の反射を抑え、透明度がアップ

渓流や湖を撮影する際、表面の白い反射がなくなるため、水中の石や川底の様子まで美しく写せます。
風景写真家には欠かせない効果です。

葉のテカリが消え、緑がぐっと深くなる

植物の葉は意外と反射が強いもの。PLを使うと照り返しが抑えられ、緑が驚くほど深く鮮やかになります。
新緑や紅葉撮影にも非常に相性が良いです。

空が濃いブルーに

特に太陽と90度の位置関係のとき、空の青が見違えるほど濃くなります。雲の立体感が強調され、ドラマチックな写真に。
旅行写真や風景撮影には絶大な効果があります。

ガラス越しの反射を消し、室内が見える

水族館の水槽やカフェのガラス越しの撮影など、「自分や背景が映り込んでしまう」という問題を解消します。

色の濁りが取れ、写真がクリアに

全体的に透明感が増し、“レンズの性能を1段階上げたような写り”が得られます。

PLフィルターの注意点・デメリット

完璧に見えるPLフィルターにも、いくつか気をつけたいポイントがあります。

光量が落ちる(1〜2段程度)

偏光をカットするため、どうしてもレンズを通る光が減ります。暗い場所での使用はシャッター速度が遅くなりがちなので、手ブレに要注意。

広角レンズでムラが出ることがある

特に空の撮影では、偏光のかかり方にムラが出てしまうことがあります(中央だけ濃くなるなど)。

効果が強すぎると“やりすぎ感”が出る

空が不自然に濃すぎたり、色が飽和したように見えたりすることがあります。
リングを回して 控えめに調整するのがコツ

PLフィルターを使いこなすための実践テクニック

PLフィルターの使い方

装着

まずレンズの先端にフィルターを装着します。

回転

ファインダーや液晶モニターを覗きながら、手前のフレームをゆっくりと回転させます。

効果の確認

  • 水面やガラスの反射が最も消えるポイント。
  • 青空が最も濃くなるポイント。
  • 葉や岩肌の反射が最も取れ、色味が深くなるポイント。

決定

最も意図した効果が得られた角度で回転を止め、シャッターを切ります。

求める効果は一つではありません。水面の反射を少し残して質感を出す、青空を濃くしすぎない、といった微調整も可能です。必ず目視で確認し、意図的に効果を調整する習慣をつけましょう。

撮影の「時間帯」と「角度」の最適化

最適な時間帯

太陽が高い位置にある日中が、反射光や散乱光の偏光度が高くなりやすく、PLフィルターの効果が最大になりやすいです。早朝や夕暮れ時は太陽の角度が浅く、効果が弱くなります。

最適な角度

反射を除去したい面に対して、約30度〜40度の角度で撮影すると、反射光の偏光度が最大になり、最も効果を発揮します。

PLフィルターの選び方

透過率

光量のロスが少ないほど扱いやすい。
高品質フィルターは透過率が高く、色かぶりも少ないです。

コーティング

撥水・撥油・防汚コーティングがあるとメンテナンスが簡単。
反射率が低いマルチコートは画質の低下を抑えます。

価格

PLフィルターは価格差が画質に直結します。
安いものでも効果は出ますが、高品質フィルターは透明感が圧倒的に違います。

おすすめメーカー

  • Kenko(ケンコー)
  • H&Y REVORING
  • NiSi

PLフィルターは「持っていて損のない唯一のフィルター」

デジタル時代、レンズフィルターの多くはソフトウェアで代替できますが、PLフィルターだけは編集では再現できません
現場でしか得られない効果があり、風景写真を撮るなら必須アイテムと言えます。

旅行、風景、自然、ガラス越しの撮影─どれを撮る人にとっても、写真のクオリティを確実に底上げしてくれる心強い味方です。

PLフィルターを使いこなせば、風景写真の仕上がりは確実に変わります。ぜひ次の撮影で大きな違いを体感してみてください。

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