写真撮影において、カメラやレンズはあなたの “相棒” であり、作品のクオリティを左右する最重要の道具です。しかし、どれだけ優れた機材でも、手入れを怠れば性能は落ちてしまいます。特にミラーレス機が主流になった現在では、撮像素子が露出しやすく、ホコリや汚れのリスクも増えています。
この記事では、日常的に行うべきカメラとレンズの正しいメンテナンス方法を、体系的にまとめました。機材を長持ちさせ、撮影クオリティを安定して保つためにも、ぜひ参考にしてください。
カメラとレンズの手入れが必要な理由
描写力を最大限に引き出すため
レンズのわずかな汚れでも、逆光時のフレア・ゴーストが増えたり、コントラストが下がったりします。
撮像素子にホコリが付けば、写真に黒い点が現れ、現像時に修正が必要になります。
機材の寿命を延ばすため
内部に湿気が残ると、カビの大敵です。特にズームレンズは気密性が完全ではなく、吸い込んだ湿気が内部へ溜まりやすい構造。カビが発生すれば専門業者での分解清掃が必要になり、数万円の費用が発生します。
トラブルを予防するため
・ピントが迷う
・AFが作動しない
・レンズ接点の不良
こうした問題も、汚れや酸化が原因で起こることがあります。
手入れは“画質”と“資産”を守るために必須の作業。毎日少しでも意識することで、機材の状態は大きく変わります。
日常メンテナンスに必要な道具
最低限そろえておきたいのは次の7つ。
ブロアー(大型が理想)
まず使うべき基本アイテム。カメラやレンズに触れる前にホコリを吹き飛ばすことで、傷を防ぎます。
レンズクリーニングペーパー / 超極細ファイバークロス
レンズの拭き掃除に使用。クロスは常に清潔な状態に。
クリーニング液
皮脂汚れや指紋を除去するための専用品。一般的なアルコールはコーティングを傷める可能性があるため使用禁止。
レンズペン
素早く掃除できる便利アイテム。撮影中の簡易メンテにもおすすめ。
綿棒
ファインダー周辺や細かい部分の掃除に使います。
カメラブラシ
ブロアーだけでは飛ばない細かいホコリに。
防湿庫(またはドライボックス+乾燥剤)
保管環境はメンテナンスと同じくらい重要。湿度40〜50%が理想。
レンズのお手入れ方法
レンズは光学機器の中でもデリケートです。間違った手入れはコーティングを傷めたり、傷を付けたりする原因になります。
Step1:まずはブロアーでホコリを飛ばす
レンズ表面に付いたホコリを、絶対に“拭く前に”除去します。
ブロアーなしでいきなり拭くと、砂粒などの硬いゴミがコーティングに傷を付ける恐れがあります。
Step2:ブラシで細かいホコリを落とす
フィルター枠やレンズの縁に溜まったホコリをやさしく掃き出します。
Step3:指紋や皮脂汚れをクリーニングペーパーで拭く
クリーニング液をペーパーに1滴だけつけ、中心から外側へ円を描きながら拭きます。
※レンズに直接液を垂らすのは絶対にNG。
Step4:レンズペンで仕上げ
軽い汚れや撮影中の簡易ケアはレンズペンが便利。
ただし、同じ面を長期間使い続けないようにします。
Step5:レンズ内部のカビ対策
簡易的にできる対策は…
- 撮影後はすぐ乾いた環境(防湿庫)に保管する
- レンズフードを付けたまま保管しない(通気が悪い)
- 雨天撮影後は必ず外観を乾かす
レンズ内部にカビが見える場合は、自分で分解せずメーカーか専門業者へ!
カメラ本体のお手入れ方法
カメラは電子機器のため、扱いはレンズ以上に慎重に。
Step1:外観の汚れを落とす
- ブロアーでホコリを飛ばす
- マイクやスピーカーの穴、ダイヤル周りはブラシで
- グリップは軽く湿らせたウェットクロスで拭く
汗や皮脂が意外とついている部分なので、定期的に清掃しておくと握り心地も良くなります。
Step2:センサー(撮像素子)のチェック
ミラーレス機はセンサーが露出しやすく、最も汚れやすい場所。
自分でやっていいのはブロアーまで!
センサーに触れる掃除は繊細で、失敗すると数万円の修理代がかかります。
- カメラの「センサークリーニング機能」を実行
- マウントを下に向けてブロアーで軽く吹く
それでもホコリが残る場合は、メーカーのメンテナンスサービスを利用しましょう。
Step3:レンズマウント・接点の掃除
接点が汚れると
- AFが動かない
- 絞りが正しく作動しない
- 曝露エラーが出る
といったトラブルの原因に。
乾いた綿棒で優しく拭くだけでOK。アルコールは使わないこと。
Step4:ファインダー・液晶画面のメンテナンス
- 液晶はマイクロファイバークロスで
- ファインダーはブロアー後に軽く拭く
アイカップは汗や皮脂が付きやすいので、たまに取り外して掃除すると快適です。
正しい保管方法|撮影しない時間が一番重要
どれだけ丁寧に掃除しても、保管環境が悪ければすべて台無しです。
湿度40〜50%を保つ
防湿庫が理想ですが、ドライボックスでも十分。
乾燥剤は定期的に交換すること。
レンズは付けっぱなしにしない
ボディキャップ+リアキャップで保管すると湿気の侵入を防げます。
ケースにしまいっぱなしはNG
通気が悪く、カビの温床に。
レンズフードは外して保管
湿気がこもりやすいため。
定期的に空気に触れさせる
まったく使わないと内部の空気が淀み、カビやすくなります。
1〜2週間に1度は取り出してシャッターを切り、レンズを回転させると内部の空気循環になります。
メーカーのメンテナンスサービスを活用する
- センサーのガンコな汚れ
- レンズ内部のチリ
- AF調整
- カビの兆候チェック
といった部分は、自分で触らない方が安全です。
各メーカーは定期点検やクリーニングパックを提供しており、数千円〜1万円程度で利用できます。
機材を資産として考えるなら、非常にコスパが高いサービスです。
機材を大切に扱うことは写真へのこだわり
カメラとレンズのメンテナンスは、難しいものではありません。
しかし、正しい知識がないと逆に機材を痛めてしまうこともあります。
日常のホコリ取りと保管環境の管理だけでも、機材の寿命は大きく変わります。
さらに、雨天やアウトドア撮影後のケアをきちんと行えば、何年経っても安心して撮影に使える状態を維持できます。
あなたの大切な相棒を守るためにも、今日からぜひ正しい手入れを実践してみてください。

