写真を始めたばかりの方が必ずぶつかる壁が「F値(絞り値)」です。読み方は「エフチ」です。
カメラの設定画面に表示される「F2.8」や「F8」などの数字、一体何を意味しているの?と思ったことはありませんか?
このF値を理解すれば、写真の明るさ・ボケ・シャープさを自由自在にコントロールできるようになります。
今回は、初心者でもスッと理解できるように「F値」の基本と実践的な使い方を詳しく解説します。
F値とは
F値とは、レンズの絞り(開口部)の大きさを表す値です。
簡単に言うと、「レンズの穴の大きさ」です。
- F値が小さい(例:F1.8、F2.8):絞りが開いて、光をたくさん取り込む
- F値が大きい(例:F8、F16):絞りが閉じて、光を少なく取り込む
数字と開きの大きさは「反比例」している点に注意が必要です。
F値が変わると写真はどう変わる
F値の変化によって、写真は3つの大きな要素に影響を受けます。
明るさ(露出)
F値が小さいほど多くの光が入り、明るい写真になります。
逆に、F値が大きいと光の量が減り、暗い写真になります。
たとえば、夜景や室内のように暗い環境では、F値を小さく(F1.8〜F2.8)して光を多く取り込むと、ブレを抑えた明るい写真が撮れます。
ボケ具合
F値は「ボケ」を作る鍵でもあります。
被写体の背景をふんわりボカしたいなら、F値を小さく設定しましょう。
F値を調整することで、被写体を「際立たせる」か「全体を見せる」かを選べるのです。
シャープさ
実は、レンズは絞りすぎても開けすぎても解像感が落ちる傾向があります。
多くのレンズでは、F5.6〜F8あたりが最もシャープに写るといわれています。
このため、風景撮影では「F8付近」が定番。
逆に、背景ボケを活かしたポートレートなら「F1.8〜F2.8」が人気です。
撮影シーン別のF値の設定例
ポートレート撮影
モデルを際立たせたいなら、F1.8〜F2.8がベスト。
背景を柔らかくぼかすことで、主役の表情や質感が際立ち、立体感のある写真に仕上がります。
風景撮影
山や紅葉、夜景など、全体をくっきり見せたい場合はF8〜F11が最適。
手前から奥までピントが合い、細部まで美しく写ります。
物撮り・テーブルフォト
料理や小物を撮るときは、F2.8〜F5.6を目安に。
被写体を主役にしつつ、背景をほどよくぼかすとプロっぽく見えます。
F値と他の設定の関係:「シャッタースピード」「ISO」とのバランス
写真の明るさは、以下の3要素で決まります。
- F値(絞り) … 光の量を調整
- シャッタースピード … 光を取り込む時間
- ISO感度 … 光に対する感度
たとえば、F値を小さくして明るくすると、シャッタースピードを速くできるため、動きのある被写体のブレ防止にも効果的です。
一方、F値を大きくして暗くなるときは、ISO感度を上げるか、シャッター速度を遅くして調整します。
「絞り優先モード(AvまたはA)」を使おう
初心者の方には、カメラの「A(Av)」モード=絞り優先モードをおすすめします。
このモードでは、自分でF値を設定すると、カメラが自動で最適なシャッタースピードを調整してくれます。
このモードを使えば、写真の表現の要であるF値だけを意識して撮影に集中できます。まずはF値を色々と変えて撮り比べ、ボケの変化を体験してみましょう!

